勃起不全の症状は、勃起が困難なケース、勃起していても硬度が不足しているケース、性交中に中折れしてしまうなど勃起の維持が困難なケース、この3つが現在のEDにおける定義と言われています。かつてはインポテンツ(性欲、勃起、性交、射精、極致感のいずれか1つ以上欠けるかもしくは不十分な物)=性機能障害と一緒にされていましたが、現在においては先に述べた症状を有する場合をEDと呼んで区別しています。
先ほども述べたとおり、勃起不全(ED)と性機能障害(SD)は似て非なるものということをまず理解しましょう。そのうえで、EDであるかそうでないかを判断し、なにが原因になっているかを医者に行くなり誰かに相談するなり、自分で調べるなりしたのちに、適切な治療を受けることがEDの改善につながります。
EDの厄介なところは、その原因が多岐にわたりそれが本当にEDと呼べるのかどうか、自分はおろか医者でも判断しにくい点です。判断のしにくさが悩みのタネとなり、それが精神的なダメージを蓄積させて「本当に」勃起不全を引き起こすことにもなりかねませんから、考えすぎてはいけません。
そんななかでどのようにEDであるかそうでないかを判断するか、です。まず基準として、自分が正常に勃起していた時点を起点にしましょう。そして勃起に関するあらゆるシチュエーションを思いだし、以前は勃起していたが、今は勃起しなくなった、というケースを洗い出します。そのうえで、いま自分がどのような状況にあるのかを書き出しましょう。病気の治療をしている、薬を飲んでいる、年を取っているなど、以前の自分とは異なる自分を浮き彫りにさせます。いうなれば、ひとつひとつ可能性をつぶしていく作業です。
なかにはこういった人もいるでしょう。
・陰茎を膣に挿入することはできないが、刺激すれば勃起するし射精もできる。
・自慰なら勃起する
・勃起する時間が短くなったが挿入は可能
など、EDではないと判断したくなるようなあいまいな状況と言えますが、以前の自分と比べてどうでしょうか。昔の自分はそんなことなかったのではないですか?
以前で来ていたことができなくなった、満足な勃起ができなくなった時点で、EDを疑って掛かったほうが良いです。EDとは言えないまでも、いずれEDとなる可能性の高い人々と言えます。EDになる場合、ある日突然そうなってしまうケース(性的トラウマによるショック)はまれで、ほとんどが徐々に進行していきます。EDになると朝立ちもなくなるかといったらそうではなく、朝立ちはレム睡眠時に起こる生理現象です。朝立ちはするのに、性交時に勃起しないケースもあり得るわけです。ですので朝立ちするかしないかでEDかそうではないかは判断できませんが、勃起をするための身体機能には異常はなく、精神的な部分に原因を求める基準としては認められますから、機能性EDを疑った方がよいでしょう。
EDには勃起の固さを図る指標があり、それをもとにED症状の程度を診断します。この指標に照らし合わせば自己診断が可能であり、自分のED症状の認知や、治療へのモチベーションにかかわる重要な指標となるわけです。もともとこのスケールはアメリカで生まれたものですが、日本語に訳されたものが2009年に作られ、一般に普及しています。グレードが0に近いほど、症状は重くなります。
陰茎が、大きくならない。
陰茎は大きくなるけれど、硬くならない。
陰茎は硬いけれど、挿入に十分な硬さではない。
陰茎は挿入するには十分硬いが、完全ではない。
陰茎は硬く、硬直している。
このようなスケールで自分の症状を自覚し、グレード4以外だった場合、病院へ行った方が賢明かもしれません。
では病院の診察方法を説明しましょう。
まずは問診です。EDの診察には国際的に認められている、IIEF5という問診票がありそれに沿って進められるケースが多いです。医師と対面してからは薬剤、既往歴、合併症、生活歴に関することを聞かれます。
そのあとEDの原因を調べることと、バイアグラなどの薬剤を処方できるかどうかの判断材料として使うため、血液検査が行われます。また既往歴によって、心臓血管系の問題がEDに関与していると疑われる場合は、心電図や負荷心電図、エコー検査も行われるでしょう。バイアグラの利用時、身体を危険にさらさないためです。そのほか、臨床検査でEDの原因を調べる場合、血液一般検査のほか、血液生化学検査、尿検査、血液ホルモン検査なども行われる可能性があります。
泌尿器そのものをEDの原因と判断した場合、泌尿器科的診察が行われます。たとえば外性器の異常、前立腺の問題がある、肛門付近の神経に異常があるなどの場合です。それでも機能性勃起障害と器質性勃起障害などが区別できない場合、詳細な検査が行われます。
寝ている間の勃起の様子を調査するものです。睡眠中の生理的な勃起が起こっていれば、機能性勃起障害の疑いが消失します。
血液の流れを検査する装置を使い、陰茎に流入する血液の量を調査します。血液の流入事態に異常があるかないかを判断します。
DICCと呼ばれる造影検査の場合、陰茎海綿体に注射針を刺し、勃起を誘起する薬物を注射したのち、海綿体内圧を測定します。続いて造影剤を海綿体内に注射しその造影剤の流失の状態を観察し、血液流失の異常を調査します。
日本人男性の中でEDの症状を抱えている人は1000万人~1500万人いるとも言われ、EDの程度の差こそあれ、約3人に1人が勃起に関する何らかの悩みを抱えています。EDは「完全型」「中等症」「軽症」に分けられ、加齢によってEDの確率は上昇するものの、最近では20代、30代の若い世代でもEDの増加が目立っています。
年齢別にみると、70代で75%、60代で70%、50代で65%、40代で60%、30代で50%、20代で40%が、軽度のEDも含めて、勃起に対して何らかの悩みを抱えているというデータもあります。つまり、他人事ではないのがEDの実態なのです。
(東京都 Aさん 50代)
(愛知県 Yさん 30代)
(北海道 Kさん 20代)
(大阪府 Oさん 30代)