EDの治療方法EDの治療方法

EDの治療方法は大きく分けて6つです。
バイアグラなどの投薬による改善、ホルモンの内服または投与による改善、心理療法、陰茎に直接注射を打ち勃起させる方法、勃起補助具を使う方法、外科手術による方法があります。種類が多いのはそれだけ人によって症状やEDの原因が異なるからで、治すのにはそれだけ時間とケアが必要となります。それぞれの治療方法を知って、治療に対して前向きになりましょう。

EDの治療方法 ~投薬~

EDの治療方法~投薬~

EDの改善方法として多く用いられるのが投薬による治療です。
内服薬としてよく知られているのがバイアグラレビトラなどの西洋生まれの薬剤と、昔から使われてきた伝統ある漢方薬です。バイアグラなどは後程詳しく説明するとして、ここでは漢方薬について少し取り上げましょう。漢方薬は効果のあるもの、ないものの差が激しく、当たり外れがあります。しかし心疾患などの他の薬剤との相性の悪いバイアグラを服用できない人には有効です。八味地黄丸、柴胡加竜牡蛎湯、牛車腎気丸などが有名です。

投薬の中でも心因性勃起障害に関しては、それに応じた薬剤(精神安定剤など)が処方されます。基本的には医師の診断に応じて処方される薬が異なりますから、バイアグラを使えば何とかなるんじゃないか?といった考え方はやめたほうが良いかもしれません。

▼投薬治療に関する注意点

薬を飲んだだけでは勃起しない
イメージとしてはED治療薬を飲んだとたんに陰茎が大きくなり、数時間はその状態が保たれると考えるかもしれませんが、それはまちがいです。勃起させるためには通常の勃起と同様に、性的な刺激が必要です。あくまで薬剤は勃起を助けるものです。射精したら勃起は収まります。これは生理現象と一緒ですね。なので、もし自分の陰茎が「暴れん棒」のようになってしまうことを不安に思っているなら、それは杞憂というものとご理解ください。
精力増強剤ではない
ED治療薬は医師の処方が必要な薬です。アダルトショップで売っている媚薬ではありません。飲んだからと言って淫靡な気持ちになるわけではないですね。それと感度が上がるわけでもありません。あくまで陰茎に対し、勃起に必要な血液量を確保させるための薬剤ですから、そこに性欲を増強させる効果などないことはお分かりになると思います。
血圧降下剤と併用不可
ED治療薬には血管を広げる働きがあるものが多く、心臓病などの治療に使われる硝酸剤とは併用できません。相乗効果で血管が広がりすぎてしまい、心臓が危険な状態になることがあるからです。飲み薬だけでなく、貼り薬もダメですし、吸入剤もダメです。血管にかかわる病気になったことがあり、今は治っているという方も血管の強度に問題があるケースがありますので服用は控えたほうが良いでしょう。
過剰な効果を期待しない
ED治療薬が効かないからと言って服用量を増やしても効き目がでないことが多々ありますし、医師の処方を無視することは身体にとってリスクが高いです。 効き目には個人差があり、体調も大きくかかわってきますから焦らず、正しい分量を服用しましょう。性的興奮や刺激を与えながら、じっくりと効果が表れるのをまちましょう。

▼薬の種類

バイアグラ

世界初の経口ED治療薬、バイアグラは1998年3月にアメリカFDAの承認を受け、同年に発売開始。日本ではその翌年の1999年に発売されました。
主な有効成分はクエン酸シルディナフィルで、もともとは勃起改善のために用いられた成分ではなく、狭心症の治療薬の開発中に勃起効果があることがわかったため、勃起改善薬として商品化されました。
日本で発売されているバイアグラは25mg錠と50mg錠が主流です。
バイアグラの使用による勃起のメカニズムは、男性器周辺の血管を縮ませる酵素の働きを抑え、海綿体に流れ込む血流を正常な状態に戻し、陰茎血管の平滑筋が弛緩、勃起を促すというものです。ですのでバイアグラを飲めば自然に勃起するという性質のものではなく、勃起には性的な刺激が必要となります。
副作用はほてりや頭痛、動悸などがありますが、誰にも必ず現れるわけではありません(服用者の5~6%程度と言われています)。

バイアグラを飲むタイミングですが、性交の30分から1時間前が好ましいといわれています。服用は25か50mgを1錠のみ、1回の服用にとどめます。1度飲んだら24時間は次の服用との間を空けましょう。バイアグラの最大血中濃度は約1時間後、血中濃度が2分の1になる時間は約4時間なので、服用のタイミングに気を付けましょう。ちなみに食後に飲む場合は、通常時よりも効果の出が遅くなります。
また硝酸剤、一酸化窒素(NO)供与剤を服用している方はバイアグラを飲んではいけません。それとグレープフルーツジュースも一緒には飲まないほうが良いでしょう。バイアグラは主として、肝臓の代謝酵素チトクロームP450 3A4(CYP3A4)により代謝されるため、グレープフルーツジュース内に含まれるフラボノイドがこの酵素を阻害するからです。

レビトラ

レビトラはバイアグラと同様、経口ED治療薬です。ドイツのバイエル社によって開発され、日本では2004年に発売開始されました。
勃起改善のメカニズムはバイアグラと同様で、PDE5という勃起を阻害する物質を阻害することで、陰茎内への血液流入を増加させ、平滑筋の弛緩を促すことにより、勃起状態を維持させるというものです。
このレビトラ、先に紹介したバイアグラよりも薬としてのスペックが高いことから、欧米を中心に広く使われています。というのは、まず、効果が表れるのがバイアグラより早いと言われています。バイアグラが0.9時間、レビトラは0.75時間と言われ、10分ほど早いのです。そしてレビトラは食事をした後でも空腹時でも最大血中濃度に達する時間の違いは見られないこと、さらには少量でも効果があるといわれ、バイアグラ50mgに対し、レビトラ5~10mgに相当します。
ただし、レビトラはその薬効の性質上、一緒に使ってはいけない薬がバイアグラより多く、降圧剤の他、降不整脈薬とαブロッカーと呼ばれる降圧薬も一緒に飲むことはできません。それに副作用の発現率もバイアグラとは比べ物にならず、臨床例によれば約7倍~10倍の確率で何らかの副作用を生じています。 ちなみに副作用は多い順で、ほてり、疼痛、鼻炎となっています。

シアリス

シアリスは2007年に発売された最新の経口ED治療薬です。その最大の特徴は効果の持続力です。というのもシアリスが体内で分解されにくい構造をしているため、36時間という長い時間薬効が続きます。その点で4時間で「終わって」しまうバイアグラやレビトラとは異なりますね。
勃起のメカニズムはほかの2種類の薬剤と同じ、陰茎内に流れる血流を増し、平滑筋の弛緩を促して勃起を持続させるというものです。また性的な刺激を陰茎に対して与えないと勃起しないのも同様ですね。
海外では効き目の長さから、ウイークエンドピルという別名がついていますが、この効果には個人差があるので誰もがその薬効を受けられるとは限りません。
シアリスを服用する場合の併用禁忌薬は、硝酸剤 (飲み薬・舌下錠・貼り薬・吸入薬・注射・塗り薬・スプレー)となります。
副作用はほてりや鼻づまりなどで、他の勃起改善薬と大差ありませんし、必ず現れるわけでもありません。

▼購入ルートと価格

購入ルートは大きく分けて2つです。

病院に行き医師に処方してもらう方法、そして個人輸入(通販を介す場合も)で海外から直接手に入れる方法です。つまり個人でも手に入れられないことはありませんが、安全な使用のため、医師に処方してもらうことをお勧めします。
費用ですが、医師の診断料は概ね2000円から5000円程度、薬が1錠あたり1000円から2000円といったところでしょう。病院によって価格設定が変わります。

個人輸入の場合、バイアグラなら病院で処方されない100mg錠で販売されることもあり、注意が必要です。
また通販の場合はまとめ買いすればするほど安く手に入る場合もありますが、正規品かどうかわからない部分もあり、あまりお勧めできません。だいたい裏ルートに流れてくる薬剤が何の細工もなしに売られる可能性は極めて低いでしょう。どうしても購入したい場合、お試しの商品があるところを選んだ方がいいかもしれませんね。
医師に行きづらいという方はご安心を。たいてい問診だけで終わります。恥ずかしい検査をすることは稀ですね。ちなみに保険がきかないので、診察から検査、処方箋代もすべて自費です。

EDの治療方法 ~手術~

治療内容に関するお問い合わせは、治療を行っている病院・クリニックに直接お問い合わせ下さいますようお願いいたします。

EDにおける外科手術の割合は非常に少ないです。
手術が必要になる場合、概ね以下の4つのどれかに当てはまっている場合だけです。

▼動脈と静脈が毛細血管を介さずつながっていて、それが血流を阻害しているケース
▼陰茎深動脈が極端に細い
▼外傷により、血管の機能に不全がある
▼外部からの圧迫などにより、血管異常が認められる

つまりは何らかの原因で血管に異常をきたしている以外、血流が勃起障害の原因ということがわかっていれば主に投薬治療が行われるのが一般的です。

▼手術の種類

血管外科手術

血管外科手術は、勃起に関係する血管の異常によって起こる勃起不全(血管性ED)を外科手術によって治療する方法です。
血管性EDには2種類あり、陰茎海面体への血液の流入が不十分な場合、動脈性EDと呼ばれ、陰茎から流出する血液量を調整する閉鎖機構の機能が不十分な場合を静脈性EDとして区別しています。

動脈性EDの治療は、症状によって方法が異なります。骨盤内の太い血管が狭窄(狭くなって血管が詰まる)している時は、バイパス手術やカテーテルを通して血流を改善する方法がとられます。これとは別に細かい末梢動脈が閉鎖することで勃起ができない場合、いくつかの血管をつなぎ合わせ、陰茎上部にある「深陰茎背静脈」を動脈化することで血液量を増し、勃起不全を改善する方法が取られます。
外科手術なので失敗もあり得ること、また合併症も起こり得ることなどを頭に入れて置いたほうが良いかもしれません。

静脈性EDの治療は、受けられる人の条件があり、若く、かつ流入動脈が正常な場合に手術が受けられます。方法は深陰茎背静脈の切除、陰茎脚結紮術を行って、血液の流出を少なくし、勃起と勃起の維持に十分な血液を陰茎内にとどまらせることで勃起改善を行います。

プロステーシス

陰茎に直接手術を行うという意味で、もっとも直接的かつ分かりやすい手術方法です。
プロステーシスとはそもそも何か?ですが、いわゆる人口器官のことで、陰茎プロステーシスはシリコン製の支柱を直接陰茎に埋め込むことで勃起状態を作り出す方法です。事故や病気により、手術をしても自ら勃起状態になることができない患者に対し行われる術法で、いわゆる「最後の手段」と呼ばれています。陰茎プレステーシスには、棒状で曲げ伸ばしのできるノンインフレータブルタイプ、水の移動によって勃起状態を作り出す、インフレータブルタイプの2種類があります。後者のタイプの場合、入院が必要となり、手術自体も保険が効かないため、数十万単位の金銭支払いが発生します。ノンインフレータブルタイプは手術したその日に帰宅することが可能です。

ED1000

アメリカで開発された、高電圧の放電を利用して高エネルギーの衝撃波が発生する特殊な装置を用い、陰茎の特定部位に照射することで血管を作り出し、それによって陰茎海綿体に十分な血流量をもたらし、勃起状態を改善するための機械であり、それを用いた治療方法をいいます。痛みはなく、薬物を使わないことから、従来の血管外科手術に代わる方法として期待されています。
ED治療薬、外科手術で効果の表れなかった患者に対し、有効な術法になる可能性を秘めています。

海綿体注射療法(ICI療法)

陰茎の海綿体に末梢血管作動薬を直接注射することで、陰茎の血管を強制的に拡張させ、本人の意思とは関係なく機械的に勃起状態を作り出す方法です。バイアグラなどとは異なり、性的刺激がなくても勃起可能となります。注射してから5分ほどで効果が表れ、30分~60分は勃起状態が維持できます。
1982年にフランスで生まれた治療法ですが、日本では認可されてはいない治療法です。つまり、何があっても自己責任というわけですね。
注射自体は細い針が使われ、注入される薬剤も微量であることなどから痛みはあまり感じないようです。注射を打ってから勃起するまでの時間は短く、病院で注射を打ってもらった場合、すぐに家に戻りベッドイン、というせわしないことになるため、自己注射をする人が増えています。ただ、日本では自己注射は正式に認可されていないので、自ら打ちたい場合、医師の指導を受けてから行うことになります。
副作用は陰茎痛や勃起が長く続いてしまうなどありますが、必ずしも発言するわけではありませんし、出たとしても長くて数時間ですからそんなに心配する必要はありません。

陰圧式勃起補助具

筒型の容器の中に陰茎を入れ、その内部をポンプによって陰圧(空気を吸い出す)にし、陰茎海綿体に血液を貯留させて勃起させ、その状態で陰茎の根元をリングやバンドなどを使って締め付けることで勃起状態を維持させる方法です。
薬剤や手術など直接的に身体に手を加えるわけではないので、副作用の心配もなく、また有効率も高い方法ですから、勃起障害の種類にかかわらず適用可能な治療方法です。勃起状態を作り、維持するという意味で、リハビリテーションの意味合いも含まれます。ただ陰茎を締め付けるバンドの痛みで性交に集中しにくいことや、陰茎への違和感、使用に対する慣れ、射精障害など人によってはデメリットとなる部分が大きいのもこの治療法の特徴です。
また、連続使用時間は30分までで、この時間内に性交を終わらさなければならないこと、睡眠薬、アルコールを摂取している場合は使用できないことなどの制限もあります。保険は適用外ですが、医師の処方箋が必要なく自分で購入することができます。

ホルモン療法

男性ホルモンの不足は勃起や射精などを促進させるドーパミンが増えないなど、いくつかの影響により完全な勃起を実現できなくなります。そういった場合、男性ホルモンもしくはそれ以外のホルモンを体内に入れることで改善を図ります。ただ、男性ホルモンの補充には問題点があり、たとえば精子を作り出す機能を低下させ男性不妊の原因になる可能性があります。
また肝機能障害を引き起こす恐れもあり、ホルモン療法を行っている間は肝機能検査を定期的に受診する必要があります。
前立腺肥大がある方はホルモン療法によってその症状を悪化させる恐れもあり、またホルモン療法そのものに前立腺がんのリスクが高くなることを忘れてはいけません。ちなみに男性ホルモン療法は健康保険が適用されます。
方法は筋肉注射で直接ホルモンを体内に入れる方法と経口するタイプの2種類ですが、経口タイプは肝機能障害の副作用をもたらす可能性が高く、注意が必要です。

心理療法

心理療法は心因性の勃起障害で行われる治療法です。心理療法とはいえ人によって方法は変わってきます。心理カウンセラーのカウンセリングを受けて、勃起不全の原因となっている悩みを除去する方法もありますし、医師に相談して心の平穏を取り戻す方法もあります。またノン・エレクト法というものもあり、これは性行為において、亀頭のみを挿入し、肌の質感を感じることで自然に勃起に導いていく方法で、勃起したら女性器から出す、しばらく待って、勃起しなくなったら再び亀頭だけを挿入し、勃起するのを待つ。これを繰り返すことで勃起することと挿入することに対して、心理的な抵抗をなくし、より自然な性行為へと導くことを目的に行われます。
心理療法はカウンセリングありきではなく、自分と、セックスのパートナーと二人でできる治療法でもあります。むしろパートナーとの協力関係が不可欠といえるのが心理療法と言えるでしょう。

ページトップへ戻る